園での取り組み(子どもとの関わり方)

これからの時代に対応する力とは、自分で考えて行動する力(主体性)です。
そして、主体性を持った人間に育つには幼少期の過ごし方がとても重要となります。そのため、長い時間を過ごす保育園での過ごし方や関わり方について考えていく必要性があります。目指している子ども像になるまでにはいくつかのステップがあり、年齢や発達段階毎に必要な子どもへの関わり方が大きく変わってきます。ここでは、どのようなステップで子どもが育っていくのかについてお伝えしたいと思います。

  • ステップ1:情緒の発達と安定
  • ステップ2:自主性の発達
  • ステップ3:社会性の発達
  • ステップ4:知識の習得

大まかに分類すると、この4つの段階で子どもは成長していきます。

次にこれを保育園に通園する年齢ごとの子どもたちに当てはめて考えてみます。

  • ステップ1:0歳児~
  • ステップ2:1歳児~
  • ステップ3:3歳児~
  • ステップ4:4歳児~

保育園に当てはめて考えた場合、年齢ごとの発達過程としては概ねこのように表せます。
もちろん2歳以上の子どもでも情緒の安定は大事な要素となります。そして1,2歳児の子どもが遊びの中で学ぶ姿も多く見られます。あくまでその年齢の子どもにとってどの要素が一番必要なのかの目安となります。
水元保育園では、子どもとどのような関わり方をすることでこれらの要素を満たすことができるかについて考え、取り組んでいます。

ステップ1:情緒の発達と安定が大切な時期の関わり

この時期の子どもとの関わり方で大切にしている事
1.特定の保育士(担当保育士)が中心に関わり、1対1の信頼関係を築く。
2.1対1の信頼関係ができると徐々に保育園が安心できる場所になり、徐々に他の先生や友だちにも目が向くようになっていく。

※排泄や食事、睡眠などの生理的欲求を満たしてもらおうと泣いて訴えた際、その気持ちを受け止めてもらう経験を通して子どもは「大切にされている」ことを実感します。こういった経験は小さい年齢の子どもにとってとても大切な経験です。抱っこなどのスキンシップを存分に取ってあげることも「大切にされている」と感じる大きな要素になります。

◇情緒の安定は生きていく中でのベースとなる力であり、多く育てばその分人生が豊かになる力です。園では0,1歳児はもちろんのこと、全年齢の子どもに対して情緒の発達と安定に繋がる関わり方を心がけていきます。

ステップ2:自主性の発達

自主性の発達といえば代表的なものに「イヤイヤ期」が挙げられます。
イヤイヤ期は、自主性が芽生えてきた証とも言えます。イヤイヤ期に入ると“何でも自分でやりたがる”姿が見られます。これも意欲、つまり自主性の表れと言えるでしょう。

この時期の子どもとの関わり方で大切にしている事
【主張や意欲を大切にし、気のすむまでやらせてあげる】
この1点だけを意識して関わることを意識します。実はこの1点を保証することがとても難しいのですが…具体的にどのように関わっているのかを説明していきます。

◆子どもの意欲を大切にするために◆
子どもの意欲を大切にするにあたって必要なのが縛りをなくすことです。
特に時間の縛りがあると子ども1人1人の声や主張に耳を傾ける余裕がなくなります。保育園生活であれば、「散歩に行く時間を設定」「昼食の時間を設定」などが挙げられます。例えば、散歩に行く時間を厳密に守ろうとすると、子どもが「自分で靴下や靴を履きたい」という思いに応えられなくなります。同様に昼食の時間を守ろうとするあまり、午前中の活動の逆算が始まって色々な時間の制約が生まれてくることもよくあります。このような状態では子どもの意欲を大切にする保育は難しくなります。

“不必要な援助”について
子どもと関わる際に意識していきたい物が「不必要な援助」です。不必要な援助とは、大人が手を出さなくてもいいことに出してしまうことを指します。子どもが苦戦している場面を見かけると、やってあげたくなることがあると思います。手伝うことが悪いわけではないですが、なんでもやってあげていると子どもの自主性は育たなくなります。また、時間に追われていると大人の都合で援助をしてしまうこともあるかもしれません。特に自主性の育ちだす1~2歳児クラスでは“不必要な援助”をしすぎないように意識し、関わり方や援助の仕方を日々考えています。

「貸して。」「いいよ。」というやり取り
 「おもちゃの独り占めは良くないか?」と問われたら大人の感覚では良くないと答える人が大半かと思います。ただし、これは大人の場合の話であり、子どもの場合は話が変わります。 特に自主性が育ち始める年齢の子どもにとっては「○○ちゃんにも貸してあげようね。」などという声掛けは全く必要ありません。このような話の際に「そんな対応をしているとわがままな子に育ってしまう。」というような意見が出てきます。そういった思いのある方は、成長の為のステップをしっかりと踏んでいると考えてください。実際のところ、「一人で使いたい」という思いを十分に保証してもらっている子どもは、その経験があるからこそ「自分から友だちに物を貸してあげる」子どもになります。自分の主張を受け止めてもらった経験を積んだ子どもは自己肯定感が育まれていくからです。自己肯定感が育まれると、他人と比較をして自分の存在意義を確かめる必要がなくなり、その結果、友だちに対する思いやりが自然と育っていきます。子どもたちは成長していくにつれ、自然と個から集団になっていきます。個を伸ばす時期に集団で教える必要はありません。おもちゃの独り占めでトラブルになっている時に掛ける第一声が「お友だちも使いたいみたいだよ」ではなく、「1人で全部使いたかったのかな?」と言ったような関わり方を心がけています。
1~2歳児との関わりでは以上の点を意識し、自主性を伸ばす保証をしながら保育を行っています。

ステップ3:社会性の発達

ステップ1,2に関しては主に子どもと大人との関わり方についての内容だったのに対して、ステップ3,4の内容は主に子ども同士の中で育つものであり、ステップ1,2がしっかりと培われていると自然と育っていくものとなります。社会性の発達に関しては、保育園に通う中で育つ部分が大きくなっています。社会性は友だちとのやり取りや関わりの中で成長していくものだからです。
2~3歳児クラスになると徐々に言葉でのやり取りが増え、友だちと一緒に遊ぶ姿も増えてきます。もちろん初めのうちは友だちとのやり取りが上手くいかずにトラブルに繋がることもよくありますが、そういう時は保育士が気持ちの代弁をしながら相手の子に伝えていきます。このような援助を受けながら友だちとのやり取りを積み重ねていく中で社会性は発達していきます。そのため、個から集団へとなっていく年齢では、困っている時に援助をしてあげる程度の関わりを意識しながら保育をしていく必要があります。保育園でも大人がつい手助けしたくなる場面はよくあります。しかし、場合によっては手を出さないほうがいいことがあると理解し、「こういった場面では、どのように手を差し伸べればいいのか?」といったテーマを日々話し合って検討しながら保育をおこなっています。

ステップ4:知識の習得

興味を持ったことに対して本で調べたり、大人に尋ねてみたりという姿は4歳頃から特に増えます。興味を持ったことに対して没頭する経験を積み重ねていくことで段々と集中力が養われていきます。ただし、知識の習得に関しては、幼児クラスの年齢に限った話ではありません。なぜなら人間は知識欲を持って生まれているからです。生まれ持ったものなので当然0歳児にも同様に備わっているものとなります。年齢の小さい子どもが学ぶ方法としては主に「見て学ぶ」ことが挙げられます。家庭であれば家族の姿から、保育園であれば保育士や同年齢・異年齢の子どもたちを見て学んでいます。大人からすると、「知識」という言葉からはいわゆる「勉強」を思い浮かべるのではないでしょうか。しかしながら、子どもにとって大切な知識は「遊びの中で学んだ経験」を指します。大人がイメージする遊びとは違い、幼少期の子どもにとっては遊び=学びなのです。思い切り遊ぶ中で主体性や創造性、社会性、集中力、道徳心、好奇心、危険察知能力といった様々な力が育っていきます。これらの力は総称して、《非認知能力》と呼ばれています。

◆非認知能力とは何か◆
非認知能力とは「(他人に)認知されない能力」を指します。反対に、学校のテストやIQテストなどの数値で見える能力は認知能力「(他人に)認知される能力」と呼ばれます。大人が子どもを見る際、どうしても目に見えて賢くなったと感じる認知能力を重視してしまいがちです。しかしながら、幼児期に認知能力を高めることはその後の人生にほとんど影響がないことが近年分かってきています。乳幼児期の子どもにとって大事な力は「考える力」や「集中する(何かに没頭する)力」などの非認知能力であり、この力は後の人生の基盤となります。非認知能力は乳児保育や幼児教育の観点で世界的に注目されている力であり、たくさんの研究成果が出ています。調べると様々な事例が出てくるので気になった方はぜひ調べてみてください。また、この非認知能力が十分に育っていると認知能力についても自然と身についていきます。“自分で考える習慣や探求心や集中力”が育っている子どもが認知能力も育まれていくのは当然ですよね。

現在、保育園では「環境」に着目し整備に取り組んでいます。特に園庭整備では自分の体と対話できる環境、判断力、自分で考える機会を増やすことを意識しています。室内環境や日中の活動では、自分で遊びを決める力(思考力や判断力)や集中力が身についていくかということについて考えながら取り組んでいるところです。


園での取り組み(環境)